ある冬の日、思いつめた章は、「2人で逃げよう。必ず迎えに来るって言ったろ。金は持ってきた(カバンを叩く)。帳場から持ってきた。(札束を出しながら)借金はこの金で返せばいい。向こうに行っても、君に不自由な思いはさせないよ。さあいこう!」とあや菊につめよる。
しかし、美代子はどうしても逃げるという事が嫌で、ちゃんと祝福されて結婚したいという。
章は「僕の事、好きじゃないのか!」と怒り、それでも行きたくないという美代子にぴんたをする。「もう2度と君には会わない!」とカバンを抱え、だだだだだっと走って汽車に乗り、行ってしまう。
追おうとする美代子を女将さんが「これで良いんだよ。」と止める。
{浩と美代子の家}
章と別れた後、大阪から浩が帰ってきた。パチンコ店が当たり、羽振りが良くなり、美代子と結婚。美代子は芸者をやめ、両親も一緒に住んでいた。しかし浩はあまり家に帰らず、家にお金も入れなくなってしまった。それどころか、家が抵当に入っていて、立ち退きの話も突然言い渡される。
母は入院中で、家にいた勝蔵が、浩の変わりようを嘆いていた。そんな中、浩が帰ってきた。そして、美代子の母の入院費を財布から抜こうとする。その財布は、昔浩に貰った富士山ののざしの財布だった。
怒った勝蔵は、ちゃぶ台を振り上げ、浩にかかっていこうとする。浩もこんなはずじゃなかった。美代子を幸せにしようと思ってるんだ。でも、騙されて・・・。と言う。それを聞いた美代子は、騙したんじゃない。騙されたんだ。良かったじゃないか”私は幸せだと言う。すると、浩が急に咳き込み、血を吐く。最後に美代子と綺麗な赤富士を見られて良かったと、あっけなく死んでしまった。借金と、思い出を残して。。。。美代子と浩の1番幸せだった頃は、子供の頃だけだったのかなぁと振り返る。